福岡市技能職団体連合会

イベント・活動

令和3年度 青葉小学校「小学生ものづくり体験講座」

体験講座

◎福岡市技能職団体連合会では、会員団体の技能職者を講師とした「小学生ものづくり体験講座」を実施しています。


【事業の目的】
小学生を対象に、子ども達がものづくりの価値を実感するとともに、自身の将来の職業選択の幅を広げ、進路選択にいかすことができるよう、技能職者(ものづくりの専門家)による実演や子ども達が体験できる様々な分野の体験講座を実施するもの。


 昨年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、やむを得ず本事業を中止いたしましたが、本年度は感染状況を注視しながら、感染対策をしっかりととって開催することといたしました。
 令和3年度、第2回「小学生ものづくり体験講座」は、福岡市立青葉小学校で次の通り実施しました。


        
1 日 時   令和3年12月1日(水)  10:50~12:25

2 場 所   福岡市立青葉小学校

3 対 象   135名(6年生)

4 体験講座  ・調理(中華):野菜の飾り彫り 
        ・洋裁:巻きペンケースつくり
        ・畳:ミニ畳づくり
        ・家具:マイはしづくり
        ・左官:アートな塗り壁

5 講 師  
・福岡県調理師連合会:王和雄、張端宏
・福岡県洋裁技能協会:石井幸子、堤志保美、砂場美代子、川口祐子
・福岡県畳工業組合 福岡地区連合会:宮﨑武博、井上隆志、国﨑豪士、笠大祐
・福岡市家具工業会:楢崎喜文、進藤和典、住永謙一、小島任貴、山下広巳
・(一社)福岡市左官業組合:牧園倫明、伊藤裕和、岩下勉、青木康、東島直人、道下幸二

【調理(中華):野菜の飾り彫り】

 調理の講座では、前回に引き続きコロナ禍に配慮して、例年の皆で協力して楽しく作って美味しく食べる体験活動の実施は残念ながら見合わせることとし、人参を材料に包丁と彫刻刀を使った「野菜の飾り彫り」を実施しました。講師の先生の手元をスクリーンに大きく映し出して、大勢の子ども達が講師の周りに集まって密になることなく、それぞれの席から見ることができるように、学校の先生方にご協力いただきました。
 子ども達にとっては、野菜を切ったことはあっても、何かをイメージしたものに野菜の形を変えるという体験はほとんど初めてで、興味津々の様子。 中には、花や魚にチャレンジして細かな部分にもこだわった作品を作り上げた児童もいました。授業の終わりに、講師の先生が作った見本を希望者にプレゼントすることになり、希望者が多く急遽ジャンケン大会になりました。もらった彫り物は、自宅に持ち帰って家族に自慢したものの、なかなか崩して調理する気持ちになれなくてしばらく飾っていたという感想もありました。

【洋裁:巻きペンケースづくり】

 洋裁の講座では、子ども達に身近に使ってもらえるものとして、今回、巻きペンケースをつくる体験を準備しました。素材も、布の端の処理(ほつれないような縫い方)をしなくてよいフェルトを使い、いろいろな色の布に合わせたきれいな糸や専用の針を使うなどの工夫をほどこし、最後に思い思いの飾りをつけて完成できるようにしました。様々な種類の飾りの中には、講師の先生手づくりの手が込んだものもあり、子ども達も選ぶのに目移りしていました。
 今回だけでなく、今後いつでも自分でつくってみることができるよう、作り方のマニュアルも配布しましたので「家族にも作ってプレゼントしたい」という児童もいて、家庭でも手づくりの良さを味わってもらえそうです。講師の先生方が使い慣れた針や針山など、長年使っているものを持参されているのを見て、道具を大事にする姿勢を学ぶ機会にもなったようです。

【畳:ミニ畳づくり】

 畳の講座では、ミニ畳づくりに取り組みました。子ども達が思っていたよりずっと硬い材料を縫う作業で、最初から苦戦の連続……こんなに小さい畳をつくるだけでも大変なんだと実感して、あらためて職人さんの苦労を思い、自分の家の畳を思い浮かべて「これからは、職人さんが心を込めて丁寧につくってくれた畳を大切にします」と感想を書いた児童もいました。
 苦労してできあがったミニ畳は、季節柄「お正月のお餅を飾る」という子もいれば、今の時代ならではの「タブレット置きにする」など、それぞれ大切にしてもらえそうで何よりです。

【家具:マイはしづくり】

 家具の講座では、マイはしづくりを体験しました。子ども達は最初、どんなことをするのかなあと、不安げな様子でしたが、作業を始めると腕がパンパンになるまで黙々と、かんなで材料を削っていました。同じ工程を繰り返しているようで、実は、微妙な力の入れ具合や削る向きの違いなど、何度やっても同じものはできず、やればやるほど奥が深い作業に、時間を忘れて夢中になっている様子が印象的でした。
 教室いっぱいに、ひのきの良い香りが漂い、みるみるうちに木くずがいっぱいになっていくと、子ども達の表情も楽しさと達成感に満ちたものになりました。「ものづくりが好きになった」という感想もたくさん寄せられてうれしいかぎりです。

【左官:アートな塗り壁】

 左官の講座では、まず、昔から続いている左官の仕事について説明をうけ、初めて左官という仕事を知った児童も多かったようです。その後、一人一人がコテをもって30㎝四方の小さな塗り壁をつくり、はけなどを使って模様をつけ、仕上げに飾りをつけてオリジナルのアート作品にしました。できあがった作品は、乾かして翌日持ち帰りました。きっと、各家庭の玄関やリビング、自分の部屋などに素敵に飾られていることでしょう。
 均等な厚さにすること、力加減のコツ……短い時間でしたがものづくりの妙味を実感した子ども達は、夢中で作業を進めていました。職人さん達が、家や城の壁を塗って仕上げていくことの大変さに思いをはせた感想を書いてくれた児童もいました。「一つのことを突き詰めて、極める・続ける」職人さん達の姿から、これからの自分の道を考えるための大切なことを学んでくれたようです。